いぬ
いつものところで
いつものように
ぼくはきみを見ていた
だれにでもあるように
心高鳴る
せつなさを胸に…
そんなぼくの思いを
知ってか知らずか
きみはぼくの方へ
笑いながら近づき
ことばをかけるのだった
「おはよう!」
「お、おはよ…」
たじろぐぼくを後目に
きみは
いっそう声高に笑い
重い足どりのぼくを
足早に追い越していく
「いそがんと遅れるよ」って
高校生ともなれば
朴念仁ではいられない
恋のかけひき
手練手管
ぼくはきみに追いつき
振り向きざま
声を浴びせる
「おっくれるゾー」
でもね
あんまり急ぐと
ほら!
言わないことじゃない
だから
注意しようって思ってたのに…
「犬のフン、ふんじゃうよ」って