ある夏の午後

公園を行き過ぎる しっとりと
濡れ髪を垂らした少女の列

振り向きざまに
カルキの匂いが鼻面をかすめる

気づかぬうちに
あたりはすっかり夏なのだ
(真っ白なブラウスの照り返しに目を細める季節)

夏だ 夏だ!
太陽が気が狂う夏だ

夏だ 夏だ!
カビだの黴菌だのが大いにはびこる夏だ

夏だ 夏だ!
蝿や蚊や家中のゴキブリどもが辺り構わず出没する夏だ

やたらと嬉しくなって
そこいら中を駆けずり回る

パシャ!───打ち水だ

僕は避けきれずにその一撃を足にくらった

「ごめんなさい」

すかさず爽やかな女の声が
僕を襲った