メモ

5:05高知駅
電話でのやりとりで、僕の残したメモ。君を送った後、一旦はくしゃくしゃに丸めたくせに、まだくずかごに捨てきれないでいる。
君が選択したのは17:59発。結局は遅い列車。
「ありがとう」と言って手を振って、泣きだしそうな君に、僕が返せたのは
「また京都で会えたら…」という言葉だけ。
改札口を挟んでのやりとり。混み合う人の目もさして気にはならなかった。君の後ろ姿を見送るのがいやだったから、すぐに僕も改札口を離れた。
三月二十一日′Nにとっての運命の日だ。でも今日、割り切った君の思いを聞いた時、(本当にそれでいいのか?)と、正直言って思う。
「先生は再婚せーへんの?」
「多分、する」
不思議な位、気が合った僕等。もちろん、教え子と教師という立場だと理解していた。強がる君を泣かしてしまったこともあった…。
“Congratulations!”僕は本当に笑って、君を祝福してあげられるのだろうか?
三月二十一日′Nが幸せになる日。