レクイエム

(いったい何から書き始めればいいのだろう?)

君の黄金のように弾んだ声はもう聞けないのだし
あの はにかんだような笑顔も
僕たちはもう
二度と見られない

(何をとっても非の打ちようがなかった…)

クラスの花
いや 校内でも憧れの的だった君は
それでも誰とでも分け隔てなく言葉を交わしたものだ
そして 今
僕たちは何の術もなく君の辞世を見送るのだ

(君はもう居なくなってしまった…)

今後 君が作った添削の答案を見るたびに僕は
君のことに思いを馳せることになる

(いったい彼女が何をしたと言うんだ!)

二十歳を前にした君への難病の宣告
神は愛おしい者から順にお召しになる
どこかの誰かがこの世の性を
しゃれた表現で茶化してたっけ

(笑うしかない 笑うしか…)

こうして
僕らのささやかな希望も
踏みにじられていくような気がするのだ
教え子に先立たれる空しさ…

(君の死は断じて受け入れ難い!)

君がテニスコートを駆けたあの日
もう一度僕たちに
あの日の夢を見させて欲しい