影踏み

「ほら踏んだ!」

天気の良い日には
わあわあ言いながら
影を踏みあった

子供の頃
幼心にも
影を踏まれることに
恐怖にも似た気持ちを
持っていた

「でもなぜ?」

影なんて踏まれても
何の痛みも感じないのにさ

「それはね」

静かに話を聞いていたじいさんは
口をとんがらせた子供達に
諭すように言うのだった

「昔は人も
ながーいしっぽを
持っていたからだよ」