実家の庭には
樹齢四十年ほどの藤が
春先になるといくつもの蕾をつけ
房が一メートル以上にもなる花を咲かせていた

折を見て四月の末に催す
藤見の宴
日頃あまり顔を合わせない人達との集いを
それなりに自分も楽しみにしていた

今年の春
その藤が花をつけることはなかった

いくつもの蕾をつけたまま
枯れてしまったのだ

(恐らくは昨年の台風の塩害…)

実家の庭には藤棚だけが残った

ところがこの夏
藤の芽が庭の数か所から出て来た

表面上は枯れていても
地中で根は生きていて
また新たな生命活動を始めている

自然の厳しさと
藤の強かさ

いつしか藤に励まされている
自分が居た