夢 宮本 泰子 あなたが優しい人だったら 私も優しくなれたでしょう あなたが料理を作ってくれたら 私は太らずにいられたでしょう あなたが発明王だったら 薔薇色の人生が送れたでしょう あなたが地位のある人だったら 私は知性を身につけたでしょう あなたが頼もしい人だったら か弱い女でいられたでしょう すべては悪夢だったのでしょう 貘が食べてしまいました |
星になった子 宮本 泰子 あの子は超新星爆発の様な死を遂げた その破片はニュートリノとなって 人々の皮膚を突き破り 心の中に残った オリオン大星雲では 頻繁に新しい星が生まれている あの子は星になったのだと思っている あの子の星が輝き初め この地球に光りが届く頃 地球はどうなっているだろう |
ドライフラワー 宮本 泰子 花は一番美しい時に ドライフラワーにすると そのまま枯れないでいる 人も美しい時にドライ人間にすれば 若いまま死なないでいられるだろう 夫や友達は老いて死んで行ったが ドライ人間は老いる事がなかった 子や孫も自分より歳を重ねて 此の世を去っても ドライ人間は死ぬ事も出来ない 寂しさに堪えられなくなった ドライ人間は老いる事 死ぬ事の必要さを悟る |
春雨 森 公宏 二日続きの雨 窓を開けると湿った風 水滴が ポタリ ポタリ… せっかくの春休みも家で缶詰 テレビももう見飽きたし勉強する気にもならない 今を盛りに咲き誇った桜たちも いつものような大騒ぎも無しに しっとりと佇む 『元気出せよ』 空の神様に予約 明日は絶対に晴れ! |
朝 森 公宏 いつものようにパンを焼いて 今日は僕がコーヒーを作るよ 冷蔵庫からチーズを取り出し ヨーグルトは自家製のヤツがあったよね 一枚目のトーストは チーズで食べる でも今日は朝から君が居るから 目玉焼きを二つ 僕のために ベーコンエッグで半熟にしてね もう猫も起きてきて 君の足下にまとわりついてる お腹減ったんだってさ 仕事があると いつもカリカリしてたけど 今日は仕事サボったし とてもいい朝 これから太平洋に行ってみないか? 自転車に乗って そんなに大きな夢は要らないけれど いつもささやかな幸せに満たされていたい こうして いつも君が笑っていられるように… |
幸せの総量 森 公宏 その時々における 全世界の資本の総量は限りあるから 誰かが楽をすれば 誰かが苦労する 働かなくて良い者があれば 誰かが必ず働くことになる それが現在の資本主義 (資本の取り合いなんだね) 幸せはどうなんだろう? 総量って限りあるのだろうか? お金持ちが幸せってこともないし 貧乏人が不幸せとも限らない (お金無いけど僕だって不幸せな訳でもないしね) その人の財産と幸せは絶対的な関連はないし 幸せの総量って限界はないようだ 折に触れて思うことがある 世界中の人々が幸せになれたらって |