Home

詩集6


 

   
           宮本 泰子

あなたが優しい人だったら
私も優しくなれたでしょう

あなたが料理を作ってくれたら
私は太らずにいられたでしょう

あなたが発明王だったら
薔薇色の人生が送れたでしょう

あなたが地位のある人だったら
私は知性を身につけたでしょう

あなたが頼もしい人だったら
か弱い女でいられたでしょう

すべては悪夢だったのでしょう
貘が食べてしまいました


 

   星になった子
           宮本 泰子

あの子は超新星爆発の様な死を遂げた
その破片はニュートリノとなって
人々の皮膚を突き破り
心の中に残った

オリオン大星雲では
頻繁に新しい星が生まれている
あの子は星になったのだと思っている

あの子の星が輝き初め
この地球に光りが届く頃
地球はどうなっているだろう


 

   ドライフラワー
           宮本 泰子

花は一番美しい時に
ドライフラワーにすると
そのまま枯れないでいる

人も美しい時にドライ人間にすれば
若いまま死なないでいられるだろう

夫や友達は老いて死んで行ったが
ドライ人間は老いる事がなかった
子や孫も自分より歳を重ねて
此の世を去っても
ドライ人間は死ぬ事も出来ない

寂しさに堪えられなくなった
ドライ人間は老いる事
死ぬ事の必要さを悟る


 

   春雨
           森 公宏

二日続きの雨
窓を開けると湿った風
水滴が ポタリ ポタリ…
せっかくの春休みも家で缶詰
テレビももう見飽きたし勉強する気にもならない
今を盛りに咲き誇った桜たちも
いつものような大騒ぎも無しに
しっとりと佇む
『元気出せよ』
空の神様に予約
明日は絶対に晴れ!


 

   
           森 公宏

いつものようにパンを焼いて
今日は僕がコーヒーを作るよ

冷蔵庫からチーズを取り出し
ヨーグルトは自家製のヤツがあったよね

一枚目のトーストは
チーズで食べる

でも今日は朝から君が居るから
目玉焼きを二つ

僕のために
ベーコンエッグで半熟にしてね

もう猫も起きてきて
君の足下にまとわりついてる

お腹減ったんだってさ

仕事があると
いつもカリカリしてたけど

今日は仕事サボったし
とてもいい朝

これから太平洋に行ってみないか?
自転車に乗って

そんなに大きな夢は要らないけれど
いつもささやかな幸せに満たされていたい

こうして
いつも君が笑っていられるように…


 

   幸せの総量
           森 公宏

その時々における
全世界の資本の総量は限りあるから
誰かが楽をすれば
誰かが苦労する

働かなくて良い者があれば
誰かが必ず働くことになる
それが現在の資本主義

(資本の取り合いなんだね)

幸せはどうなんだろう?
総量って限りあるのだろうか?

お金持ちが幸せってこともないし
貧乏人が不幸せとも限らない

(お金無いけど僕だって不幸せな訳でもないしね)

その人の財産と幸せは絶対的な関連はないし
幸せの総量って限界はないようだ

折に触れて思うことがある
世界中の人々が幸せになれたらって